TECH未来 活用力コンテスト7審査結果発表!

審査員総評

    • 今年も想いのこもった作品がたくさんありました。皆さんの柔らかい頭を使って、TECH未来で具体的な形にできることは素晴らしいと思いました。(広島大学大学院 准教授 谷田親彦)
    • 生活や社会の中から見いだした問題を解決するために、どのような製品を開発すべきかを検討し、それを実現するために、動力源の力やスピード、向きを適切に変換している作品ばかりでした。加えて、使われる場面を踏まえて本体の形状や構造、スイッチを工夫しするなど、使用者のことを考えて開発していることにも感心させられました。このコンテストを目指して育んだ、技術を使ってよりよい生活や社会を構築していこうとする力を、今後も発揮していただけることを期待しています。(文部科学省 初等中等教育局 視学官 上野耕史)

    • 新しいアイデアがたくさん出たコンテストで、ワクワクしながら審査させていただきました。新しい機構が、今までにない解決をもたらしてくれました。また、新しい分野にもアイデアが広がりました。TECH未来活用力コンテストは、とても少ないパーツと機構をもとにしたコンテストです。できないこともたくさんありるのですが、みなさんのアイデアがそれをとても豊かなものに変えて見せてくれました。今後、コンピューターやプログラミングと出会うことで、さらに未来が広がります。みなさんの「こうしたい!」を様々な「学び」と出会わせることで、実際の未来も大きく変わっていくと思います。 ぜひ、自分から出たアイデアを大切に、どんどん実現していってください。(中国学園大学 准教授 柏原寛)

    • どの作品も学生ならではの生活の問題点を解決しようという努力や、世の中を良くしようという気持ちが込められている作品ばかりで見ていて嬉しい気持ちになりました。コロナ渦という今の状況に応じた作品も見られ、自分たちが持っている力を瞬時に活用しようと考えられる力に将来への希望を感じます。学校に通えない中で作られた方もいたと思いますが、おうちにあるものをうまく組み合わせた作品や、動画配信が一般的となった昨今で、動画にも工夫をされている作品が多くどれも見ていて楽しい作品ばかりでした。((株)おもちゃ王国 代表取締役 髙谷昌宏)

    • 今年で活用力コンテストも7回目を迎えることができました。技術の授業を振り返ると,昔は試行錯誤しながらラジオを作ったり,ラックを作ったり,いろいろ工夫することが多かった時代から,授業のスリム化,スムーズ化により,試行錯誤しながら実習活動を行う場面が少なくなりつつあります。このような中で,今年の活用力コンテストの作品は,Tech未来の基本的な部品を活用して,さらに自分で紙や段ボール,いろいろな材料を付け加えて,自分なりの考え方や捉え方を引き出すための工夫をしている作品が多くみられました。このようなハンズオンによる思考錯誤のプロセスは,新しい時代に求められている重要な活動であり,どの作品もそのような活動をたくさんしている様子が見られました。家に市販のちゃんとしたものを持ち帰らなくても,きっと今回応募してくれた生徒の皆さんは技術を学ぶ大事なものを身につけたのではないかと思っています。是非,来年も多くの応募作品が集まることを期待しています。来年は,新しい学習指導要領による本実施が始まる年であり,是非,このような活用力コンテストが技術の授業を通して盛り上がることを願っています。(東京学芸大学教職大学院 教授/NPO法人東京学芸大こども未来研究所 理事長 大谷忠)

グランプリ

No.1「自動譜めくり機」

東京都三鷹市立三鷹第三中学校 渡邉 健斗さん  袰岩 巽さん

審査員講評

  • 縦回転を時間ごとの繰り返しパターンにしているのが面白い。解説の動画も丁寧でした。(谷田)

  • 自動的に楽譜をめくりたいという問題を解決するために、確実に動作する完成度の高い作品です。特に、組み合わせるギヤを自動的に変え、めくる動きを繰り返す仕組み、演奏の邪魔とならないよう、 ある程度のスピードでめくる仕組みは、素晴らしいものでした。(上野)

  • これまでにない新しい仕組みの提案でした。まさに「自動」という名にふさわしい動きと機能に驚きです。実際に様々な演奏で使用するには、ギヤの速度の細かな調整が必要かもしれません。しかし、今回のアイデアが切り拓いた、音楽という「時間の芸術」を歯車でTECHするという試みは 今後のコンテストにも大きな影響を残すことになると思います。(柏原)

  • プレゼンテーションが上手だなと思いました。ピアノの演奏技術はプレゼンテーションにはあまり関係なさそうに見えますが、そういうところに力を入れるところも良いと思います。いわゆるチーム総合力が高いと感じました。プレゼンテーションでは、その仕組みがグラフィック的にも解説されていて、初めてこの仕組みを知った人でも理解しやすいと思いました。(今のパーツでは変えられませんが、将来的に、)赤い棒を挿す位置を変えることによって、譜めくりの速さ(=音楽のテンポ)にも合わせるという応用も効きそうだと感じます。世の中にもたくさんの方が、自動譜めくり機を開発しているようですので、他の人がどんな発明をしているのかもぜひ調べて欲しいと思いました。紙と紙に隙間がなくてもめくることができるかが少し気になりましたので、さらなる改良を期待します。(高谷)

  • 確かに両手でピアノを弾いているので手が空かない問題をうまくとらえた作品ですね。特に譜面をめくるための機構をどのようにするか,いろいろアイデアがあると思いますが,よく機構を考えてある,大変よい作品ですね。実際に使えたり,商品開発できそうな作品だと感じました。 大変すばらしい作品ですね。(大谷)

 

準グランプリ

No.2「しょうどく君」

東京学芸大学附属国際中等教育学校 一栁早良さん 片岡嗣葉さん

審査員講評

  • ティシュのセッティングと同時にスイッチが入るのがよかった。ガムテープを使わない接合を考えてみましょう。(谷田)

  • 実際に使用されている消毒スプレーを動作させるために必要な力を発揮するために適切なギヤの組み合わせを選択するだけでなく、動作スイッチを工夫するなど、ティッシュに消毒液をつけるという状況を十分に踏まえた作品となっていました。(上野)

  • 最近のコロナウイルスの影響により,いろいろなところに工夫が必要になったことを受けて,よく考えられた作品ですね。ポンプを押し出すために大きな力が必要ですが,Tech未来の学習で学んだことを活用して,とても工夫されているところが素晴らしいです。また,きちんと自分が作った内容を実験により検証しているのもとても素晴らしいです。デザイン→ビルト→テストによるデザインプロセスの開発の流れをしっかりとらえていますね。素晴らしいです。(大谷)

 

 

準グランプリ

No.3「プッチンおくすり」

岩手大学教育学部附属中学校 濱田義仁さん 藤岡慧成さん 福田莞奈さん 馬場悠歌さん

(画像をクリックすると動画をご覧いただけます。)

審査員講評

  • 自作のウォームギヤがいいですね。連続でできるのであれば見てみたかった。(谷田)

  • ウォームギヤを使用するだけでなく,押す部分にてこの原理を用いるなど,薬を押し出すという目的を達成するために、適切な技術を選択・組み合わせていました。また、押し出された薬を取りやすくするために、箱に入れる仕組みも加えるなど、使用者のことを考えた作品となっていました。(上野)

  • カプセルから薬を押し出し、ベルトに乗って運ばれてくるという、医学分野の新しいアイデアでした。この作品はそのカプセルもオリジナルで制作しています。今後、医学の進歩により薬の形が変わるかもしれません。そのような時でも、薬のパッケージ、保管・運搬方法、投与の方法など、一連の流れ全体をデザインすることはさらに重要になってくると考えられます。 この作品はそのような未来を示してくれたように思います。(柏原)

 

 

 

No.4「車イス型ベッド」

岩手大学教育学部附属中学校 小原日菜さん 岡本麻衣さん 坂下諒輔さん 兒玉泰一さん

(画像をクリックすると動画をご覧いただけます。)

審査員講評

  • ベッドからの車椅子への乗り降りではなくて、「ベッドがそのまま車いすになると良いのでは」、という発想は、ベッドからの乗り降りをする車いすの不便さなど、その現場を見たことや不便さを聞いたことがある人からの発想なのではないかと思います。そういった課題を自分ごとにしているところが良いと思いました。椅子の形の意味や、可動部分の動きもよく捉えていると思いますし、糸やプーリー、ワームギヤ、パーツの角度、などの設定もよくできていると感じました。静止画写真を見ると、前から見た写真の収まりがミニマム&シンプルで、よく考えた結果なのではないかと思いました。電源系統をしっかり二つに分けて考えているのも功を奏していると思います。(高谷)

  • 車いすとベッドを組み合わせて,寝たきりでも移動できたりする,これから社会に必要になる作品ですね。ベッドの形から車いすの形に変形する仕組みがモデルになっていますが,よくできていると感じました。さらに,どんな人にこの作品を使ってほしいか,作った人の気持ちがもっと聞きたくなる作品ですね。とても工夫されていて素晴らしいです。(大谷)

 

 

No.5「もうチョークくらわないマシーン」

阿見町立竹来中学校 齋藤祐輝さん 倉持龍斗さん

審査員講評

  • 身近に解決したい問題がないかどうかという視点で課題を見つけたのが、等身大で良いと思います。クランクをうまく使っていて、日頃どういう風に自分が黒板消しを叩いているかという点もよく観察していると思います。叩いている間に黒板消しが動かないようにする仕組みもよく考えられているし、動きそのものの見え方も面白いと思いました。動画の見せ方も、日頃の悩み事から始まっていてわかりやすいと思いました。1点、「周辺は粉だらけにならないのか?」ということを思いましたのでさらなる改良を期待します。(高谷)

 

 

 

No.6「黒猫carry」

岩手大学教育学部附属中学校 藤野太郎さん 藤村桜成さん 前野心美さん 村井果帆さん

(画像をクリックすると動画をご覧いただけます。)

審査員講評

  • スイッチでON/OFFを切り替えるところ、箱の傾きによって動力が伝わるようにした工夫がとても斬新でした。回路としては、電池の抜き差しではなく、スイッチを入れても良かったかもしれません。 最近の生活の中では、「スイッチ」や「ボタン」がどんどん無くなっていっているように感じます。しかし実は、感じているだけで、実際には膨大な量のON/OFFが繰り返されています。どうして感じないのかというと、スイッチの機能が他の機能に置き換わっていて、私たちの動作がそのままON/OFFに結びついている仕組みになっています。この作品は、そのような、物を置くことで車が進み、物を取ることで車が停まるといった機能を実現しようとしています。モーターと歯車の接続・切断がポイントですので、さらに一工夫あるとより便利になると感じました。物を運ぶということは、私たちの机の上でも、街や世界でも大変重要なテクノロジーです。今回の作品が切り拓いた、人の動作に応じた運ぶ仕組みは今後のコンテストの大きなテーマを示してくれたように思います。(高谷)

投稿者: TECH未来事務局