小学生版活用力コンテスト 結果発表! 2月の初旬より民間教育機関におけるSTEM教室の共同研究を行ってきた、ワオ・コーポレーションの「能開STEM講座」、弊所が運営している「Codolabo STEM教室」「Codolabo STEMひろば」の参加者を対象に、「活用力コンテスト~小学生大会~」を実施してまいりました。 活用力コンテストはTECH未来を使用している学校やその関係者を対象に平成25年から実施されてきましたが、今年度は切望されていた小学生を対象にした活用力コンテストを開催しました。 小学生版の活用力コンテストを行うにあたって、初夏から相談をはじめ、どんなテーマで開催するのか、だれを対象にするのかなど、紆余曲折の末、この2月~3月にかけて開催することができました。STEM教室に通う児童たちがどんな作品を作ったのか、ぜひご覧ください!
1 優秀賞1st Prize !
「かいだんのりこえようカー」
志田 貴晴 さん
アピールポイント
この車は3cmのだんさをのりこえることができます。なので、足の不自由な人もこの車にのることでエレベーターがなくても上の階にいくことができます。 また、屋上駐車場がある所で車がぐるぐる回り、よったけいけんがありますが、この車だと直線で進めるので、よいません。そのうえ、省スペースにできます。 その他にも、配達の人のふたんがへるというメリットがあります。
講評
- 脚の不自由な人でも階段を安心して上がることができる車を考えたのはとてもすばらしいコンセプトですね。また,そのコンセプトを実際に実現するためにタイヤを上下動させる機能を付け,スムーズに階段を登れるようにした点にとても作品のすばらしさを感じました。(審査員A)
- このような高機能な車は駆動部分が多く、複雑で実際の製品でも正しく動作させることが難しいにも関わらず、自律して動作している作品の完成度の高さに驚きました! このような車は人を乗せて移動するだけでなく、災害時や人が立ち入れない場所でも物を運んだり、情報収集などの目的で大活躍します。製品化を楽しみにしていますね!(審査員B)
- 非常によく考えられたアイデアです。ロボットもコンパクトにまとまっており将来性のあるロボットだと思います。(審査員C)
2 活用力賞2nd Prize !
「はとのお知らせ時計」
四方 實浩 さん
アピールポイント
このモデルは、朝起きれないという問題を解決するために作ったモデルです。 このモデルの工夫は、たとえば、おきる時間、おふろの時間などのタイミングを、音や動き、言葉で教えてくれるというところが工夫です。そしてはじめにこのろぼっとにその数えてくれることを言って録音して、その時までの時間をいれておけば、時間を気にしないでそのことに集中できます。
講評
- 機能性・デザイン性の点で、とても優れたモデルだと思います。多節リンク構造や扉が開閉する部分は完成度を高めるのが難しかったと思いますが、本当によくつくったと思います。また、単なるキッチンタイマー的なものにしないために、声で録音するというアナログ度と自由度を高めた点に面白さを感じます。(審査員D)
- 朝起きれないという身近な生活の問題に注目してハト時計をつくろうとしたアイデアはとてもいいですね。ハトが出てくるしくみや音や言葉で教えてくれるところはとてもよく考えてできていて感心しました。(審査員A)
2 アイディア賞2nd Prize !
「急いで、逃げて!!」
濵野 聖子 さん
アピールポイント
私があったらいいなと思ったしくみは、もし三階建ての家の三階で火事が発生したら、センサーが反応し、人々がひなんできるようになるしくみです。ベルト状のクッションが落ち、クッションが落ちた後にはしごが開きます。工夫した点は、センサーが反応する、音声で「火事です。火事です。」と言ってくれることです。音声も聞こえると逃げやすくなると思ったので、音声も取り付けることにしました。
講評
- ひとつのモータで,ロックを解除し展開するという技術は非常に高度なことです。よく頑張ったと思います。(審査員C)
- はしごが自動で下りるだけでなく、「火事です。火事です」とアラートしてくれる点と、はじめにクッションが下りるという点に、応募者の人柄と観察眼が垣間見えます。避難訓練か何かの時に感じたことを心に留めて、それを解決しようとする姿勢に感心しました。惜しいのは、クッションが落ちる前に、下の階の人に向けてアラートが入っていなかったことです。(審査員D)
3 特別賞3rd Prize !
「円、直線、曲線 完ぺき機」
戸澤 愛杏里 さん 齋藤 龍児 さん 柴田 悠希 さん 高橋 慧 さん (コマーズ4)
アピールポイント
この作品は図形が描けます。円はプログラムを使って書きますが、その他の直線、曲線はリモコンで操縦します。マッキーのさす位置を変えれば円の半経を変えることができます。二本させば二重円も描けます。この作品はどこでも描くことができ、もっと大きくすれば、道路や校庭などでも使えるラインカーにもなると思います。さらに設計図などに応用でき、円の法則も調べられ便利です。
講評
- ロボットを使って円・曲線・直線を描かせる、いわば「製図ロボット」を小学生が発想した点が面白い。線を引くアームから水や化学薬品なども出るようにしたら、さらに応用が利く車に発展しそう。(審査員D)
- 身近な学校での作業などに注目したところがとてもいいですね。円や直線をうまくひくためにはプログラミングをいろいろ苦労したと思います。図形に関する数学的なアイデアはほかの問題にもいろいろ活用できそうですね。(審査員A)
その他にも様々な作品の応募をいただきました。 ご協力ありがとうございました!
審査員の皆様からの総評
- どの作品も身近な生活や社会にある問題を取り上げ,それを解決するためにプログラミングを活用しようとする意欲のある作品ばかりでした。そのアイデアには小学生とは思えないくらいたくさんのアイデアが含まれていて,審査をしていて,とても驚かされました。みなさんの作品の中には身近な生活を豊かにするために,プログラミングを使って解決していく様子がたくさんみられました。ぜひ,そのような身近な生活にある課題が,広い社会にある問題を解決するところにつながっていくところに注目して,さらにSTEM力(科学,技術,数学を活用してプログラミング(エンジニアリングに含まれる)により問題を解決していこうとする力)を高めて,問題解決に取り組んでもらいたいと願っています。
- 非常に,凝ったアイデアが多く,審査に苦労しました。Tech未来の機構は無限大ですので,これからも色々とチャレンジしてみてください。みなさんの将来が楽しみです。
- 予想していたよりも皆さんのレベルが高いのに感動しています。 特に、「かいだんのりこえようカー」「配達お助けトラック」「急いで、逃げて!」の3モデルは、身の周りで起こっている問題に対し、自分なりに課題を感じてその解決策をモデルで表現しています。小学生でこういう発想をして、人を思う解決策を提案・表現できるということに、「日本の未来は案外明るいぞ!」という感慨を持ちました。 他のモデルも、自分自身の関心事からスタートしているとはいえ、教室での学びをしっかり取り入れてオリジナルの作品に仕上げた点は素晴らしいと思います。
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- 彼らがこのコンテスト応募をきっかけに、今後も問題意識を持ち続けて、将来、社会の役に立つイノベーティブなエンジニアになることを期待しています。
- 様々な作品を見て、皆さんの発想力の高さに驚きました。 恐らくそれは、皆さんが楽しみながら自分の手で作品を作ることで、新しいアイデアがどんどん生まれた証だと思います。 これからもただ考えるだけでなく、実際に自分の手で物を作って、試行錯誤を繰り返すことで、新しい発見を楽しんで下さい!そこに新しいアイデアが隠れてますよ!
今回審査・総評にご協力いただいた皆様
- 東京学芸大学 大谷忠先生 (本研究所理事)
- 東京学芸大学 今井慎一先生 (本研究所学術フェロー)
- ワオ・コーポレーション 鈴木秀之様、松木和也様
ご協力ありがとうございました。